Vol.2 セカンドハーベストジャパン 理事 秋元健二氏(2/2)
「職場の理解をつくってしまう行動。システムの社会化を目指して!」
VOICE
そういった言葉を頂きながら、関わる時間を増やしていったんですね。
秋元
いつも行かない曜日にオフィスに行った時があって、そこで、炊き出しのボランティアから
事務局長になった和田さんと、理事長のチャールズがいて、3人で団体について話しをしました。
僕はそこで、セカンドハーベストジャパン全体像が見えた。
今までやってきたミクロな仕事が、マクロのシステムと繋がった瞬間でした。
別の言い方をすれば、団体と自分の役割という繋がりを超えて、この団体の武器を利用して、
自分の思いを社会に投げかけられるほどの価値があると思いました。
そうしたら、週に1日じゃ全然足りないなあと思いました。
丁度、セカンドハーベストも、僕に渉外を突然お願いしたい時にも、対応してもらえるように、
サラリーで約束を取り付けたいと思っていました。
そこで、僕は、仕事の権限がもらえるならと思い、有償ボランティアの領域に入っていきました。
今までは無償ボランティアだったわけですが、本心からお金がいらなかったか?
といえば素直に肯定は出来ないです。
低コストで運営すること自身がより多くの人々を支えることになるので、
NPOに特別の負担をかけるつもりはないですが、本業へかける時間が減
る分お金はほしかったですね。(笑)
そして、有償ボランティアとして取り組み始めたのが、入って2年位です。
そういう関わりを1年続けてからシフト制になった。
そうすると、向こうがまた違った仕事を提供できる。
今は、理事になったので、フリーで仕事をしています。
VOICE
ドライバーから有償ボランティアになり、理事になられた。どのようにして本業と折り合いをつけてきたのでしょう?
秋元
そもそも、仕事に区分する枠ってあるのか?というのがあります。
自分の目的が、成長や、自己実現に置いているとしたら、
自分にとって諸々の活動をどう位置づけるか次第だと思います。
その上で、職場の理解はすごく大事になります。
「大学に行ってきます!」と、「セカンドに行ってきます!」というのでは、やっぱり全然対応が違います。
有償ボランティアの時は、仕事の合間、合間を見計らって時間をつくれたから、
大丈夫だったんだけど、固定で2、3日来ようと思うと、さすがに難しいよね。
このまま続けていくと、職場の関係がギクシャクしてしまうと感じ、勤め先に協力してもらおうと思いました。
そこで、
「僕がセカンドハーベストに行く事によって、このようなネットワークが形成されます。
その資産を使っていけば、当団体にも、こんなメリットを提供出来るから、ぜひ継続させてほしい」
というような内容で年度末にプレゼンをしました。
そうしたら、やってみたらっていわれました。笑
もちろん、自分がもっていた仕事を引き継いでもらう訳だから、同僚は良い顔はしないけど、
自分の中でのわだかまりは無くなった。そこの折り合いはしっかりつけたほうがいい。
また、自分が社会に何をアプローチしたいのかを考えているならば、
NPOとの関わりを自らの企業の仕事と繋げてしまうのが大事じゃないかな。
ボランティア休暇というのがあるけれど、ボランティアというのをスキルアップの一貫として
NPOに送り込むのがアメリカである中で、「休暇」という仕事と切り離している視点に違和感を感じます。
VOICE
ボランティアとして関わるのも、継続していくのも、待ちの姿勢ではなく、
自ら働きかけていくのが大切ということですか。
秋元
そうですね。
ただ、プロボラとしてNPOに関わる上で、大切にしてほしいのが、素人のボランティアっぽさです。
NPOには色々な利害関係者がいて、その人達に働きかけるロジックを考えていると、
シンプルな志を忘れている時があるんです。
こっちは色々と試行錯誤した結果に、その食料はリスクが高いから引き取れないって決断を下した時に、
スタッフから、「でもそれってもったいないじゃないですか」と言われた時に僕はハッとした。
4年もやっているから、団体やNPOの知識や経験や利害関係者を考慮することを覚えて来たけれど、
そこから抜け出していくことが課題になっていた。
そもそも、NPOで広報や財務や営業をやるってことを、どういうことかを考えないといけない。
そうしないと、ただ企業から引っ越してきた財務屋さん、営業さんになってしまう。
それではダメだと思います。
VOICE
秋元さんのこれからについて教えてください。
秋元
みなさんは、自分が、福祉の分野に関わることって一生ないと思っているけども、全然そんな事はない。
突然、自分がその場面に立たされる事もあるし、身近にあるそういう分野を見過ごしているだけかもしれない。
僕も、システムの社会化って、口では言っていたし、ロジックでも分かっていたけれど、実感がなかった。
だけど、最近になって、あるお母さんに
「セカンドハーベストが食料盛ってきてくれて、本当に感謝していて、安心して生活できます」っていわれたて、
どうして安心出来るのかって、つい聞いてしまったんですよ。
そしたら、彼女は辛かった時をフラッシュバックしてしまったらしく、泣いてしまった。
その後に、彼女は、
「自分が明日の食べものがないなんて全然耐えられる、けれども、自分の子供に対して、明日の食べ物がない
という怖さがわかりますか?その怖さがなくなるだけで、私は安心して生活出来ます。」
と言われた時に、システムを社会化するっていうのは、こういう事だと思った。
だから、僕は全国にフードバンクのシステム広めていきたいし、その理解も広めていきたい。
食料が欲しいと思ったらすぐに手にはいる、社会への安心感を創造したい。
VOICE
今日は本当にありがとうございました!