vol.1サービスグラントTOKYO 嵯峨生馬氏 (1/3)

changeforjapan2008-06-24

今回は「プロボラ!」初のインタビューです。
記念すべき第1回目はサービスグラントTOKYO、嵯峨生馬さん。


嵯峨さんは渋谷を中心とした地域通貨アースデイマネー*1の活動で有名ですが、一方で、サービスグラントTOKYO*2という先駆的な活動をされています。



僕たちは、今回そこに焦点を当てていきました!

嵯峨さんはプロボラであり、NPO経営者であり、プロボラとNPOの折衝をまとめるプログラムオフィサーでもあります。

様々な経験をされてきた嵯峨さんが、なぜプロボラというコンセプトに出会ったのか、
そして今後のビジョンを含め語って頂きました。



Profile

1974年、横浜生まれ。
1998年 東京大学教養学部第三(相関社会科学)卒業し日本総研に入社。
同社にて、シンクタンクの事業企画部で新事業の創造に関わる。

2001年には地域通貨フォーラムの運営を進める一方で、
プロジェクトチームの中心人物として渋谷に「アースデイマネー」を導入。
2003年よりNPO法人アースデイマネー・アソシエーション代表理事
2006年3月に日本総研を退社し、渋谷・宮益坂に「オフィス・アップサイジング」を設立し
、サービスグラントTOKYOや地域通貨システム開発などに専心している。
著書に『地域通貨』(NHK生活人新書)等。





「タップルートファウンデーション!? 出会いは突然に、そして偶然やってくる。」



VOICE
サービスグラントTOKYOを始めるきっかけが、タップルートファウンデーションを知ったことだったようですが、
この財団を知った経緯は何でしょうか?


嵯峨
本当にたまたま知ったんですよ。

前に勤めていた、日本総研の仕事で国土交通省の案件があったんですよね。

まちづくり等を行っているNPOがどうやって資金調達しているのかを国内外で調べてほしいと。

そのために、サンフランシスコのある団体を調査しに行きました。
そこで、彼らが調査中に、「来週HPを更新するから!」と言ってきたんですよね。

そして、そのHPはタップルートファウンデーションがつくってくれたんだと教えてくれました。
その時は、へえーと思って、タップルートという言葉だけメモって日本に帰国しました。


VOICE
最初からタップルートファウンデーションを目当てに、サンフランシスコへ行ってはいないんですね。


嵯峨
そうなんですよ。

それで、帰国してからタップルートのHPを見て、これはすごい団体だと思いました。

財団というと、ドッシリしたイメージがあったのですが、大分違う。

むしろベンチャーっぽく感じられたんですよ。

それから、雑誌やネットの記事でタップルートを調べていくうちに、その理由が分かってきました。

タップルートの代表はアーロン・ハーストという人なんですが、
彼はもともとシリコンバレーのIT企業でマーケティングの仕事を経験してから、NPOの分野へきた人物だったんです。


彼は、ドットコム企業にいるような優秀な人のスキルがソーシャル分野に
全く使われていないことに気がつき、起業した。

僕はこれは、素晴らしいと思った。

活動自体もそうですが、実際に成果が出ているのが凄いと思いましたね。


それに自分と同年齢だった。笑


VOICE
そして、04年5月にタップルートを訪問することになるんですね。


嵯峨
そうですね。3日間行ってきました。初日にアーロン・ハーストに会い、
タップルートのMTGに出させてもらいました。

そして、残りの2日間でタップルートの支援先を3団体ほど見ました。


VOICE
実際に訪問してみてどういった印象をもちました?


嵯峨
まず、ハーストは僕みたいに自分から喋ってくれないんです。笑  

すごい短く話し、本当に何でも早い。もう、メールなんて本当に短い。笑 

けれども、大変暖かい人物なんです。


彼のあのスピード感がタップルートの成果を実現してるんだろうなあと思いました。

また、支援先に訪れて感じたのは、NPOにとってサービスグラントのボランティアは普通では出会えない人達なんだということ。

「彼らは何百ドルの価値がある」といっていましたね。


VOICE
サービスグラントを日本でもやってみたいとハーストさんに言った時、

「まずは小さく産んでみることが肝心だよ」とアドバイスを頂いたようですが、
他にもアドバイス、気づきはありましたか?


嵯峨
日本とアメリカじゃ状況が違うだろうから、現場に併せてやってみたらいいよといわれました。

もうひとつ言われたのは、外資系の企業に当たっていけばいいんじゃないかということですね。

それは、企業の役員に支援先のNPOの理事や顧問になってもらうまでコミットしてもらえということです。


また、役職だけではなく、個人的にお金を出させるというのも大事だということでした。

タップルートファウンデーションにアドバイザリーボードというのがあって、
そこには企業のCMO(Chief Marketing Officer)とかCIO(Chief Information Officer)が何人もいるんですよ。

まず、コミットする経営者を増やす必要があるということです。

例えば、ウェルズファーゴ銀行のCMO(Chief Marketing Officer)がアドバイザリーボードになっています。

彼は社員にサービスグラントでボランティアとして参加することを奨励しているんですよね。

そこで、なぜ奨励しているかということですが、それは、ビジネススキルの育成に役立つと思っているからですよ。


ビジネス向けの研修プログラムもいいですが、タップルートにいってNPOや社外の人間と協業する中で得ることも高い価値がある。

そういう認識を経営層がもっているから、プロボラになることを会社で奨励しているんです。


まだ日本じゃ考えられないでしょ?笑

*1:アースデイマネーとは、NPOの活動にボランティアとして参加したり、寄付をした人が手に入れることができ、手に入れたアースデイマネーをつかうと、街のお店やイベントなどで割引やプレゼントなどの特典が受けられます。お店も、いいお客さまが来店するのでハッピーです。つまり、地球や街にいいことをすると、その人にもいいことがある。お店もうれしい。そんな「いいこと」のつながりを目に見えるカタチにしたのが、アースデイマネーなのです。
http://www.earthdaymoney.org/about.php?id=1

*2:サービスグラントとは、NPOに対してお金を支援する助成金(グラント)と異なり、知恵やアイデア、プロフェッショナルスキル等を提供することによって、NPOの活動を応援するプログラムです。WEBサイトやパンフレット等の情報発信ツールの制作をはじめとして、NPOに不足しているスキルやノウハウを提供することにより、NPOの認知拡大、ボランティアや支援者の拡大などを後押しし、ひいては、NPOがより自立した形で運営できるような手助けをすることを目的とする活動です。 サービスグラントTOKYOは、ご自身のスキルをつかってNPOを応援したいと考えるボランティアのメンバーを募集し、こうしたボランティアのメンバーを5〜6人のチームとして編成し、NPOとのマッチングを行い、NPOに対して、WEBサイトやパンフレット等の成果物を提供するまでのコーディネイトをしています。
http://svgt.jp/about/index.html